子犬のような目で私を見る藤堂くん。
藤堂くんは未だ、自分がどれだけ完璧な人間かを分かっていない。
「そんな罰辺りなことするわけない!」
声を出して首をブンブンと横に振ると、嬉しそうに笑ってくれた。
藤堂くんに好かれたい子なんて、ごまんといるのに、藤堂くんが私を好いてくれているなんて、人生の幸せを全部ここで使ってしまったんだと思う。
でも、人生の幸せを全部ここで使って藤堂くんに好かれることができたなら、これ以上嬉しいことはない。
「藤堂くん、私なんかでいいの? 他の人だと、したいこともできるし、行きたいところにも行けるのに」
「他の人じゃダメ。オレは東良がいいの。オレと付き合ってくれる? 大っぴらにしようとは考えてないし、あくまで東良が過ごしやすいように全力を尽くすから。彼氏としてオレを傍に置いてほしい」
藤堂くんは本当にズルい。置いてくれなんて、それはこっちのセリフだ。
「今日、分かったことがあるの。私、藤堂くんっていう、特効薬がないとダメになっちゃうの」
「オレ、特効薬?」
「うん。抱きしめられたとき、スッと軽くなった。藤堂くんに抱きしめられたから軽くなった。藤堂くんが迷惑じゃなかったら、私を彼女にしてください」
「――当たり前だろ! あー、すげぇ嬉しい」
嬉しそうにハニ噛みながら、私をそっと包み込むように抱きしめてくれた。



