家まで送り届けられ、「じゃあ、また明日」と名残惜しそうに背を向けられた。
藤堂くんの、歩く背中を見ながら必死に考える。
これで良いんだろうか。
せっかく今日、距離が近づいたのに。明日からは今日のことがなかったことになってしまう。
元通りはイヤだ。絶対イヤだ。
「と……藤堂くん、まって! ごめん、ごめんなさい」
大声を出し、藤堂くんを引き止める。「ごめんなさい」この一心で深く頭を下げた。
「え、なにが?」と、返事があったことから、足を止めて私の方に振り返ってくれたことが分かった。
藤堂くんがまた歩き出してしまわないうちに、もう一度声を張り上げる。
「ワガママ言ってごめんなさい。私、さっき失礼なこと言った。本当にごめんなさい」
「え、ワガママ? いや、オレの方が東良と一緒にいたいってワガママ言ったし。むしろ東良の意見の方が正しいと思うから。顔上げて」
藤堂くんの優しい言葉でゆっくりと顔を上げると、私がいる位置まで戻ってきてくれていた。
優しい言葉をかけてくれるけど、申し訳なさで胸が押しつぶされそうだ。
「……今日、藤堂くんがずっと一緒にいてくれて嬉しかった」
「うん」
「本当はずっと一緒にいてほしい」
「うん」



