藤堂くん、もっとぎゅっと抱きしめて



私は本当に、どこまで自分勝手な人間なのだろう。


ワガママを言うにも限度がある。藤堂くんが心配してくれるから、聞いてくれるからって何を言ってもいいわけじゃない。


藤堂くんは私を突き放すわけでもなく、言い返すわけでもなかった。


「学校にいるとき、常にオレは東良と行動を共にできるかって言われたら、それはまた難しい問題だし、いじめっぽいことって本当に見えないところで起こるって言うし。でも、沢辺には誤解を招かないように言っとく。心配しなくていいから」

「……うん、ありがとう」

「保健委員としてなら東良のそばにいてもいい?」


どことなく、寂しそうな目で問いかけてくる藤堂くん。そんな目で言われたら「ごめんなさい」なんて言えるわけもなくて頷いた。


これでいいはずだ。藤堂くんは今までと変わらず、『保健委員』として私に接してくれる。


この形を一番望んだのは私のはず、なのに、胸の痛みが止まらない。


発作とは違うこの感覚、知ってしまったらいけないような気がした。