藤堂くん、もっとぎゅっと抱きしめて



「中学の時に女子からいきなり無視されて。怖くて夜も寝れなくて。そこからパニック障害の発作が出るようになったの」

「そっか。入学して半年経って聞くのもどうかと思うけど、東良、学校楽しい?」

「学校……」


楽しい、楽しくないでいってしまえば楽しくない。ただ、勉強をするうえで必要だと思うから来ているだけだ。


クラスメイトも、いつ発作が発症するか分からない、保健室ばかり行く私と一緒に行動してくれる子なんているわけもなく、学校生活において常に一人だ。


――私も、友達と楽しく笑い合ったりしたい。けれど、この症状がある限り学生生活を過ごすにおいて、それが叶うことはない。


何も答えない、動けないでいる私の顔を、藤堂くんは立ち止まって覗き込んできた。


「……もし、学校来たくないなって思ってるなら、オレ、怒るよ?」

「え?」

「オレがいるじゃん。東良にはオレがいる。学校は楽しくないかもしれないけど、オレに会いに来て」

「……藤堂くんに?」

「うん。オレ、絶対何があっても休まないから。東良を一人にはしないから」

「……うん」


――でも、それは学校生活において、藤堂くんの貴重な時間を奪ってしまうということだ。