「そもそも、佐奈は何で離婚したいと思ったの?」

琴美ちゃんが思い出したと言うように聞いた。

「新婚生活を味わうことなく置いてかれて、それからいろいろなことがあって3年が経って…」

「その“いろいろ”は仕方がないことじゃない。

まさかこんなことになるうえに、こんなにも長引くなんて誰も予想できなかったことなんだし」

そう言い返してきた詩歌ちゃんに、
「それはわかってる…けど、私はこの3年間ずっと1人だった。

誰もいない広過ぎる部屋で1人で寝起きして自分で作ったご飯を食べて、誰かの顔を見て話をしたくてもできなかった。

できたとしても画面越しでしか会うことができなかった」
と、私は言い返した。

「まあ、何かあってからじゃ遅いからね」

琴美ちゃんはやれやれと言うように息を吐いた。