シュリ王子は連れ帰りたい



心にザラザラ残る、不信感。


一掃したくて、楽観的感情を

脳内に流し込んでいたのに……


「やだ~ 柊真ったら~
 強引すぎ~」


「イヤイヤなんて口だけだろ?
 もっと俺に
 溺愛されたいくせに」


イチャイチャカップルの

浮かれ声が聞こえてきて


私の背中が

一瞬で凍り付いてしまった。




男性の声は、間違いない。

柊真君の声だ。



じゃあ女性は?

お姉さんの声ではないよね?



私の額には今、絶望の縦線が

びっしり入っていると思う。


寝室のドアを開ける勇気なんて

一ミリもない。