私の右手には、ケーキが入った袋。
ユラユラと揺れてしまうのは
どうしようもない。
ウキウキとドキドキが
手からケーキに伝わってしまうから。
サプライズ♪
サプライズ♪
ルンルン気分を、胸の中に押し込み
物音ひとつ立てず
玄関のドアを開けたのに……
何……これ……?
私の視線は、ある物に
くぎ付けになってしまった。
柊真君のスニーカーの隣にある
このハイヒールって……
私の靴じゃないよ!
相手を威嚇するくらい真っ赤だし。
ヒールなんて10センチ以上もある。
そんなオシャレな靴、私は持っていないから。