「……理亜」 床に尻もちをついた柊真君。 悲しげな瞳で私を見つめてくる。 大好きだったよ。 柊真君のこと。 私に甘えるのも、私を甘やかすのも上手で 『俺は一生、理亜だけのものだよ』 『死ぬまで理亜のことを、大切にするから』 そんな極甘な言葉を 毎日何回も、囁いてくれた。 でも、騙されていたなんて。 私はただの家政婦なんでしょ? 人気ミュージシャンになりたくて 働かず、夢だけ追いかけている柊真君の 家事・料理担当で。 お財布係り。 銀行のATM役。 ただそれだけの存在なんでしょ?