ドアの前に立ち尽くす私。
悔しさで震える手を、ギュッと握りしめる。
爪が手のひらに食い込むほど、力強く。
さらに甘さを増したイチャイチャ声が
私の耳に飛び込んできた。
「じゃぁ柊真、彼女なんか捨てて
今すぐ私と付き合ってよ」
「オマエの方が甘え上手だし、可愛いし。
それもありだな」
「やったぁ。
今日から私が、柊真の彼女ね」
「早まんなって」
「えっ?」
「オマエがうまい飯を作れるようになったら
俺のものにしてやるよ」
「さっそく明日、料理教室に入会してくる」
「料理する前に
長すぎる爪をどうにかしろ」
「可愛くてオシャレな私のこと
柊真は大好きなクセに」
「オマエ、モデル並みに可愛いし。
大好きだよ。
なんか文句ある?」



