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「せ、先輩…今からでも戻りません…?」
「何言ってんの心優ちゃん。今から行ったところで、怒られるのは目に見えてるでしょ?」
どうやら説得は無理らしい。
ほとんど人がいない廊下を抜けてやって来たのは、屋上に続く扉がある前の階段。
「さすがに暑くて出られないからね。熱中症になったら困るし」
そう言いながら階段に座った明楽先輩は、やっぱりサボることに抵抗がないように見えた。
「心優ちゃんもここ座んな?掃除されてるっぽいから綺麗だよ」
「あ…はい、そうします…」
明楽先輩に言われて仕方なく隣に腰を下ろすと、「ははっ」て笑われてしまった。
え…今のどこが面白かったんだろう…?
「心優ちゃんは本当に真面目だねー。どこかの誰かさんとは大違い」
…それって、もしかしなくても廿楽くんのことを言ってる…んだよね。



