私はカメラマンのごとく、王子様と化した廿楽くんの姿を撮り続けて。
私を見つけたら手を振ってくれるという神ファンサに、キャーキャー騒いでいた。
そうして気がつけば、周りに人だかりができているという事態に。
廿楽くんと明楽先輩は人を集める掃除機みたい…。
そんなわけのわからない事を考えてしまうくらい、彼らの人気ぶりは凄かったのである。
「心優、ただいま。写真いっぱい撮ってたね」
「おかえり〜!うんっ!それはもうたくさん撮ったよ!見てみるっ?」
「ん、どれ?」
先に戻ってきた廿楽くんにスマホの画面を見せようと近づく。
「…ほんとだ。これ、容量大丈夫なの?」
「っ…う、うん。へーきへーき!」
じ、自分で言っておいてなんだけど……。
テンションが上がっていた私は、廿楽くんの顔がかなり近くにあって思わず肩がビクッと跳ねた。



