なぜ悲鳴のひとつも聞こえないか、私たちはそれを身に染みて体験することになる。
いざ乗ってみたら、その原因はすぐにわかったよね。
もう、速すぎて叫ぶどころの話じゃなかった。
というより、叫ぶ暇もないくらい速くて。
目も瞑れないし声も出せない。
高さも半端なくて、肝臓やら内蔵やらその他もろもろの臓器がふわっと浮く感覚を覚えた。
右に揺れて左に揺れて、ぐるぐる回る。
まさに地獄そのもの。
やっと終わったと思ったら、今もまだ足がフラフラしちゃって普通に歩けないし。
気持ち悪さこそないからまだ良かったものの、これからはしゃぐ気分には到底慣れそうにない。
明楽先輩は余裕そうだけど、私は、廿楽くんは意気消沈。
完全にお通夜状態だ。
そんな私たちを見てさすがに悪いと思ったのか、明楽先輩の手には水のペットボトル2つを手に持ち、心配そうに背中をさすってくれる。



