靴を履き、玄関を開ける。心地よい秋晴れの風が吹き抜けてわたしの背中を押しているようだった。


「ありがとう、バイバイ」


 ポケットからキーケースを取り出した。そこから外した最後のおそろいを郵便受けに落として、ふたりの——彼の、部屋をあとにした。