あれから、僕の手首はすっかりよくなったのだが、麻木さんは相変わらず足繁く僕のアパートへ来ては、至れり尽くせり、面倒をみてくれた。

そんな麻木さんに何かお返しをしたいと思い、僕は、かつて彼女が走り書きした住所を見て、初めて訪ねることに。

町名がうちとは違うので気付かなかったが、わずか徒歩2、3分という近さだった。

辿り着いたそこは、僕の住んでいる安アパートよりも、更に年季の入っている感じの建物であることに、少し驚く。

当然、オートロックなどあるはずもない。

人の住んでいるところに口を出すつもりは当然ないが、若い女性…しかも、あんな桁外れの美女がこんなところに住んでいて大丈夫なのか、防犯面での心配をしてしまう。