「って、結局会いたいんじゃん」
自分にツッコみ、ため息を吐き出してうなだれた。
私、日本からこんなに遠く離れた地にまで追いかけてくるほど、エツが好きだったの? いや、認めたくない。あの人は私のことなんてなんとも思っていないんだから。
頬杖をつき、バッグにつけたチャームになにげなく目をやる。
シルバー製の細工を施した小さくて丸いバスケットの中に、ピンク色の球が入っているガムランボール。手のひらで転がすとチャリチャリと可愛らしい音色が楽しめる。
これはまだ許嫁だった頃に、エツがバリ島のお土産でくれたもの。幸せを呼び、夢や願いを叶えると言われているらしい。
昔から大事にしていたこのアイテムをつけてきたのは単純に可愛いからで、奇跡が起こってほしいと願っているからではない。決して。
憎たらしいくらい綺麗で、どこか余裕が漂う整った顔が脳裏に蘇ってくる。その顔を軽く頭を振って掻き消し、タルトフランベにかぶりついた。



