「申し訳ございません。私はまだ未成年で……。代わりにお酌させていただきます」
「そうかそうか! じゃあ頼むよ」
彼は快く納得してくれたものの、やや据わった目でこちらを見つめて「今、何歳?」「どこの学校に行ってるの?」などと質問攻めを始めた。これがなかなか終わらない。
しまった、切り上げるタイミングを見失った……と内心後悔する私。しかし、いつまでもこうしているわけにはいかないので、適当な理由を探して一旦下がろうと試みる。
「あの社長、お水を飲まれてはいかがですか? 今お持ちしますね」
「まあまあ、そう逃げないでさ」
そそくさと去ろうとした時、突然手首を掴まれてギョッとした。お客様に触れられるなんてことは初めてで、身体を強張らせる。
「俺の娘も花詠ちゃんくらいの頃は反抗期で、こうやってそばにいてくれなくてなぁ~」
社長のほうへ引き寄せられ、一気に危機感と嫌悪感が増して身をすくめた。しかし、もし私の態度で機嫌を損ねたらひぐれ屋の印象まで悪くなってしまうと思うと、下手なことはできない。
ぴったりくっつく社長様からどうやって切り抜けようかとぐるぐる考えを巡らせるのもつかの間、彼はあろうことか肩に手を回してきた。



