「くぅー、美味しい!」
「花詠がそんなに酒好きになってたとは」
コン、とテーブルにグラスを置いて喜びに浸る私を、エツもビールを口に運びながら物珍しそうに見ている。酒豪だとバレたおかげで、遠慮なく飲めるので結果オーライだ。
「お酒が飲める体質でよかったよ。友達との飲み会で盛り上がれるし、旅館でお客様にすすめられた時とか飲んでも平気……」
話している最中、ビールよりも苦い記憶が蘇ってきて口をつぐむ。
──それは、約七年前のこと。今日再会するまで、私とエツが疎遠になってしまったひとつのきっかけとなる出来事だ。
* * *
エツが外務省からきちんと内定をもらった頃、私は高校三年の秋を迎えていた。
陰口を叩いていた女子たちとの問題が起こった後から、エツに対する気持ちが少し変わり始めていた私。
また昔みたいに戻れるかもしれないと淡い期待を抱いていた時、秋の終盤にエツのほうから話しかけられて、久しぶりに胸を躍らせた。
話の内容は特にときめくものではない。学部の仲間と教授も一緒に忘年会をすることになり、その教授がひぐれ屋を贔屓にしているので、広間でできるかという相談だった。



