S系外交官は元許嫁を甘くじっくり娶り落とす


 私はお酒が大好きだ。特に日本酒は旅館でもよくお出ししているから馴染み深く、地方に旅をしに行った時は必ず地酒を飲み比べしている。

 弟と一緒に飲むと大抵あの子のほうが先に潰れて、『肝臓どーなってんの?』と嘆かれるほど。

 でも、あまり可愛らしくない部分は知られたくないのが乙女心。これは伏せておこうと、ニコッと微笑んで答える。


「うん。まあ、人並みに」
「うそつけ。酒豪だろ」
「なんでわかるの⁉」
「当たりか」


 図星を指され、私はあっさり認めてしまった。エツは「品のいい若女将が実は酒豪だったら面白いなと思って」と、したり顔をしている。

 カマをかけられたのか……屈辱。

 すぐ引っかかる単純な自分に呆れている間に、料理とビールが頼まれていた。ストラスブールがあるこのアルザス地方は、ドイツに隣接しているため古くからビール文化が根付いているのだそう。

 ほどなくして運ばれてきたビールで乾杯し、百パーセントアルザス産ホップで作られているというそれをじっくり味わう。とても香りがよく、苦みの中に絶妙な甘みが感じられて格別だ。