「プ、プレ……?」
「コンドーム」
形のいい口から突然飛び出した、破廉恥な単語。私は目を丸くし、引き気味で「えっ⁉」と声を上げた。
こっ、コ、コンドーム⁉ この、なんかおしゃれな感じのパッケージが⁉
赤面してあたふたしだす私を見て、エツはぷっと噴き出して教えてくれる。
「〝愛の国〟って言われてるだけあって、フランスにはあちこちに自販機があるんだよ。高校や大学にも」
「そうなの⁉」
学校にも設置されているってすごい……日本の性事情とはやっぱり全然違うんだな。
驚きつつ納得していると、エツが私の顔を覗き込んできて、意味深な視線で私を捉える。
「買っとくか? 一夜の記念に」
扇情的な笑みとその言葉に、ドッキン!と心臓が大きな音を立てて飛び跳ねた。消し去ったはずの妄想が蘇ってきてしまう……私たちに必要なんかないっていうのに!
慌てて「買わん!」と返してそっぽを向く。耳まで赤くなっているだろう私に対し、エツは余裕そうにクスクスと笑っていた。
さっそくレ・アールから移動し、徒歩十分ほどでエツが贔屓にしているというレストランにやってきた。
中年夫婦が営んでいる一軒家のような小さな店だが、温かみのあるおしゃれなインテリアもご夫婦の人柄も、心をほっこりさせてくれる。



