根本的なことに疑問を持ち、遡ってみれば両親たちに確執が生まれたからだと思い出す。エツになにも非はないのに、悪い話ばかり聞かされていたせいで関わってはいけない相手なのだと思い込んでいた。
……くっだらねぇ。あの時のエツの言葉を、そのまま自分にも親にも返したい。
自分たちが気に食わないからって、子供の私たちまで引き離して。とばっちりもいいところだ。今までおかしいと思わなかった私も私だけど。
エツを避ける必要なんてなかったのだ。もう親のことなど気にせず、好きなように接しよう。
ようやくそう思い直せたものの、約十年もそっけなくしていたせいで、今さらどう距離を縮めればいいのかがわからない。普通にしようとすればするほど逆にぎこちなくなってしまうし、なにより話すタイミングが難しい。
エツは大学三年の頃からすでに国家総合職試験のための勉強に勤しんでいて、それに合格し、超難関の官庁訪問もクリアするまでは本当に大変そうで声もかけられなかった。めでたく外務省への内々定が決まった時に、やっと『おめでとう』が言えたくらいだ。
でも、私が高校最後の夏を迎えたこの頃は、お互いにつんけんした態度は和らいでいたように思う。学校の敷地内で行き会った時には笑顔を向けたり、軽く手を振るくらいにはなっていた。



