一気にシリアスな雰囲気に変わったラヴァルさんも、深刻そうな面持ちでスマホを耳に当てながら、槙木さんと一緒に慌ただしく部屋を出ていく。エツもこれから忙しくなるだろう。


「地震だなんて……心配だね」
「ああ……たぶんすぐにパーティーもおひらきになる。悪いが、ひとりで帰れるか?」
「うん。大丈夫」


 ついさっきの気まずさはあるものの、災害が起こった今はそれどころではない。

 エツは固い表情で私に向き直り、やや早口で説明する。


「どのくらいの被害か詳しくわからないからなんとも言えないが、向こうでの対応が手に負えなくてこっちに要請が来たら、俺はまた現地に行くことになるかもしれない。万が一そうなったら、しばらく会えなくなる」


 そうか、また行く可能性もあるのか……。有事の際は家に帰れないことも多いらしいし、こればっかりは仕方ない。

 でも、行くってどのくらい? また何カ月も会えなくなるわけじゃないよね?

 本当はそう聞きたかったけれど、言葉にするのはためらわれた。大変な時に、自分のことを優先させてはいけない気がして。