「というわけで、月末に在日フランス大使館で行われるイベントのパーティーもさっそく同伴してくれるか?」
続いて業務のようなひと言が投げかけられ、なんだそういうことかとやや肩を落とした。
パーティーに同伴してほしいから甘い飴を与えたわけね。外交官のパートナーも出席することが多いというのは知っていたけれど、まだ先かと思っていたから確かに少し躊躇してしまう。
「まだ結婚してなくてもいいの?」
「ああ、今回はそこまで格式ばったものじゃないから。婚約者だと紹介しておきたいし。万が一、お前の親父さんが〝やっぱり結婚反対!〟って言い出したとしても、周りに宣言しておけば解消しづらくなるだろ」
「なるほどねぇ……」
念には念を、という感じか。外堀を埋めておく用心深さもさすがだ。
格式ばったものではないとはいえ、出席するのは大使はもちろん、キャリア官僚や著名人も大勢いるのだろう。その中に私みたいな超庶民が飛び込むのはかなりの勇気が必要だ。
でも、それはわかりきっていたこと。勇気を出す時が早まっただけ。
「わかった」と答え、私を見つめる彼とまっすぐ視線を合わせる。
「エツのお嫁さんになるって決めた時から、こういうのも覚悟してたから大丈夫。まだ妻として国際貢献するなんてレベルにはなれないけど、エツに恥をかかせたりはしない」



