私もカウンターを出てエツの向かいのソファに腰を下ろすと、王様のように悠々と座っている彼と控えめな声で話す。
「もう、急に来るからびっくりした。心の準備が……」
「俺に会えてドキドキしてんの? 可愛いな」
いたずらっぽく、かつ甘い笑みを浮かべる彼に、私のハートが撃ち抜かれた。
さっきまでヤキモチ妬いていたくせに、すっかり余裕綽々だし……はあ、好き。
悔しいやら嬉しいやらで騒がしい胸を抑えていると、彼はさっそく本題に入る。
「で、次の土曜は花詠も休みだろ。どこか行かないか?」
「行く! デートしたい!」
願ってもないお誘いに、ぱあっと顔を輝かせて即答してしまい、慌てて口元を手で覆った。だって、エツとふたりでデートなんて初めてだから。
歓喜する私に彼はクスッと笑い、「行きたいこととか、やりたいことある?」と問いかけた。
彼と行きたい場所は山ほどあるけれど、その中でもずっと憧れていたところがある。私は胸をわくわくさせて意気揚々と答えた。



