しばらくそのままでいた彼は、私を気遣いながらゆっくり動き出す。これまでとまた違う快感と、彼の息遣いをすぐそばに感じて、幸せでたまらない。

 余裕がなくなってきている様子の顔に手を伸ばし、乱れた呼吸をしながら問いかける。


「エツも、気持ちよくなれてるの?」
「最高。花詠とだからだな、こんなにいいのは」


 満足そうな様子に、私の心も満たされる。「よかった」と微笑むと、彼はほんの少し切なげに眉を寄せ、濃密に唇を重ねた。

 律動が激しくなり、肌と肌がぶつかるたび甘い声が漏れる。限界が近づいていそうな彼は、荒い息を吐いて私をしっかりと抱きしめる。


「もう、片時も離してやれない……。ずっと、そばにいてほしい」


 自分はこんなに愛されているのだと伝わってきて、熱いものがじわっと目に込み上げる。「私も」と応え、汗ばんだ背中に手を回して抱きしめ返した。

 あなたがとても愛しくて、どこに行こうとついていきたい。その気持ちだけは本物だと、ひとつに溶け合いながら胸が痛くなるほど強く感じていた。