その後も父は渋っていたが、食事を終える頃には私たちの婚約を認め、石動家と協力することを一応約束してくれた。
食事の後、エツはさっそく『花詠とふたりで話をさせてください』と、皆の前で私を誘った。一旦家に帰って着物から普段着に着替えた後、連れてこられたのは彼のマンション。
時刻はまだ午後三時だ。明るい日が差し込むリビングに入ると、なんだか途端に気が抜けてソファに腰を下ろした。
「私たち、婚約者になれたんだ……。ふたりで会っても、もう文句言われないんだよね?」
「だから今ここにいるんだろ」
ふっと笑いをこぼしたエツは、スーツのジャケットを脱いでソファの背にかける。私は安堵と喜びに満たされた気分で、彼を見上げて微笑んだ。
「ありがとう。お父さんも考えを改めてくれそうだし、全部エツのおかげだよ」
「いや、俺はただきっかけを作っただけだ。これからも言い合いが続きそうだけど、なんだかんだ協力するだろうな」
確かに、石動夫妻はわりと前向きな様子だったし、お互いにちょっと歩み寄ればよかっただけなのだと思う。それができないのだから呆れてしまうが、父にとっては難しかったのだろう。



