とんでもない発言が飛び出し、数秒の間を置いて各々が驚愕の声を上げた。
私の両親は金魚のように口をぱくぱくさせていて、「なっ、な……!」と言葉になっていない。口元を片手で覆っている祥だけは、密かに歓喜しているのが私にはわかった。
石動家も困惑していて、中でも実弦さんは心配そうにエツの肩を掴む。
「お前、本気なのか? 簡単に結婚なんて言ったら……」
「覚悟してるに決まってんだろ」
真剣な顔で言い切る彼に、実弦さんははっとした様子で手を離した。
「俺たちは元々許嫁だった。そんなに驚くことじゃないでしょう。その当時も別に親父たちは特別仲がよかったわけじゃなくて、事業のために俺たちを結婚させようとしていたんじゃないですか?」
エツの鋭い視線を受けた父ふたりは、なにも言い返せないようだ。
よくよく考えれば、私たちが許嫁だった背景に仕事や利益が絡んでいないはずがない。政略結婚とはそういうものなのだから。
エツは実弦さんに目線を戻す。
「兄貴は会社を継いで嫁さんももらってる。今度は俺が親孝行するべきだろ」
もっともらしく言う彼を見つめながら、私はこの間エツが結婚について聞いてきた理由がやっとわかって納得していた。



