本当に頑固なんだから!とため息をつく私。せっかくお父様が手を差し伸べてくれているのに、意地でそれを突っぱねるんだもの。こっちはもどかしくてたまらない。
しかし、ここでも場をまとめるのはやはりエツだ。
「では、こうしてはいかがでしょう。石動グループも暮泉さんの力を借りるんです」
この提案にはふたりとも意表を突かれたらしい。ぽかんとした表情になってエツを見やり、お父様も「なに?」と声を漏らす。
「石動グループも、海外進出しているホテルは客足が伸びていない現状がありますよね」
公になっていない事実が明かされ、皆が目を見張る。
「ああ、そうだ」
潔く認めたのは実弦さんだ。お父様は〝やられた〟と言いたげに肩を落とす。
「実弦……悦斗に言ったのか」
「家族の雑談の一環でね」
したり顔の実弦さんはさすが副社長、お父様とも対等という感じがする。腕を組む彼の纏う空気が、仕事モードのきりりとしたものに変わる。
「海外がいまいちな理由のひとつは、ターゲットが日本人の旅行客だからだろうと、悦斗と話していてわかった。従業員も自然と日本人が多くなって、地元の外国人に馴染まなくなっているんだ。もっと全世界の人たちへ目を向けないと」



