エツはおもむろに指を絡めて手を繋ぎ直し、口を開く。
「ちなみに俺は、花詠と結婚できないなら一生独身でいるよ」
さらっと告げられたひと言で、ストラスブールでの会話が蘇ってくる。
あの時、エツは『この仕事するって決めた時から結婚は諦めてる』と言っていた。あれってもしや、私が日本にいるから諦めていたの? だって今の発言の裏を返せば、私とじゃなければ結婚する気はないということで……。
いやもう、ほぼプロポーズみたいなものでは!? これ以上幸せにさせられたら死ぬと言っているのに!
ぼっと熱くなる顔を両手で覆って悶える私を見て、エツはクスクスと笑っていた。
私たちでは結婚なんて無理だと思っていた。でもラヴァルさんが言っていた通り、そう決めつけていたのは自分なのだから、ふたりで話し合えば解決策が見つかるかもしれない。
ようやく繋ぎ合えたこの手は、簡単に離しはしない。



