再び顔を寄せ合い、何度も唇を重ねた。舌が絡む水音と、色っぽい吐息がこぼれていやらしい気持ちになっていく。

 息が上がる私をとろける瞳で見つめた彼は、重ねていた唇を首筋に移動させ、ちゅっとキスをした。

 くすぐったさと快感で身をよじらせていると、彼の手が服の上から胸に触れ、びくんと身体が震える。


「あっ! んん……っ」


 思わず声が漏れ、咄嗟に手の甲を口元に当てた。

 この感じ、まさかキスだけでは終わらない……!? 私、初めてだからどうしていいかわからないんだけど! ていうか、今日下着なにつけてたっけ?

 頭の中ではもうひとりの自分が騒がしい。悲しいかな二十六歳にして処女なもので、こういう体験は妄想の中でしかしたことがないのだ。

 さらに、もう片方の手は自然な手つきでするりと服の中へ滑り込み、背中を直に撫でる。その瞬間、頭の中に赤信号が点灯して彼の胸を押した。

 これ以上は、今日は無理!


「ちょ、ちょっと待った!」
「あぁ?」


 眉間にシワを寄せてギロリと見上げる彼は、危ない組の人さながらの迫力がある。私は口元を歪ませて「ガラ悪っ」とツッこんだ。