「ここが日本のエツの部屋なんだぁ。すごい、夜景がめちゃくちゃきれ──」


 感嘆の声を上げている最中、後ろから急に抱きしめられて心臓が飛び跳ねた。

 やばいやばいやばい。幼馴染の域を超えた途端、こんなに甘くなるなんて予想外すぎて!

 すっぽり包まれた腕の中でぎこちなく振り向くと、待ち焦がれたように唇を奪われた。舌を差し込まれ、口内で交わって、強張った身体から力が抜けていく。

 息継ぎの合間にうっすら目を開けると、とんでもない色気を放つ瞳と視線が絡み合い、ドキドキしすぎて窒息しそうになる。全然嫌ではないのにストップをかけたくて、適当な言い訳を口にしてみる。


「ね、エツ……まだちゃんと部屋見てない」
「そんなの、これから何度も来れるんだからいいだろ」


 くだらない、といった調子でそう言った彼は、私の腰に手を回してソファーへ誘う。先に腰を下ろしたエツは、手を引いて自分の脚の上に私を座らせた。


「今はこっち。花詠を堪能させて」


 甘えるように私を見上げる彼に、胸がキュンキュン鳴いている。これまでとは全然違う愛が溢れているのがわかるから、文句なんて出てこない。