食事しながら石動グループの近況を聞いたが、以前は進出していなかった地域にもホテルを建設するらしく、特に経営の面で問題はなさそうだ。酒を嗜みつつ、なにかいい手はないかと模索する。
数時間が経ち酒も進んだところで、俺は夜風に当たりたくなってウッドデッキに出た。デッキチェアに座り、遠くにそびえるビルの明かりを眺めていると兄もやってきて、静かな夜の中でぽつぽつと語り合う。
「実は、仕事のほうで少し問題があるんだ」
しばらくすると気になる話が出てきたので、俺はぴくりと反応して彼を見やる。
「親父はあえて言おうとしないが、海外にあるウチのホテル、客足が伸び悩んでいるとこが多いんだよ。サービスも価格も悪くないはずなんだけどな」
兄は浮かない顔をして、海の向こうの異国を眺めるように遠くを見つめていた。
父の跡を継いで石動グループの副社長に就任している兄は、自らも海外へ出張して他国でのホテル建設に携わっている。アジアにあるそこには俺も泊まったことがあるが、なにか問題点はあっただろうか。
もしかしたら、似たような悩みを抱えている暮泉家と協力し合えることがあるかもしれない。糸口を見つけられたらと、無意識に前屈みになって「詳しく聞かせてくれ」と促した。



