S系外交官は元許嫁を甘くじっくり娶り落とす


 兄たちも昔からの許嫁で、俺と花詠とは違って順調に愛を育み、二年前に結婚した。といっても、付き合いが長いのでいろいろあったとは思うが、少なくとも親同士は良好な関係を築いている。

 同居も上手くいっているようだし、相変わらず仲睦まじくていい夫婦だ。穏やかな気持ちで紗千さんにフランス土産を渡し、喜ぶ女性陣を見ながら席につく。


「幸せそうでなにより」
「ああ、家族がいるのはいいぞ。悦斗も結婚考えたら?」
「考えてるよ、一応」


 花詠を手に入れることが叶ったら、その先にあるのは俺の中では結婚しかない。一年前までは頭になかったその選択肢が新たにできたことを口にすると、兄は一瞬キョトンとした後、目を丸くして声を上げる。


「おぉ、ついに悦斗にも大事な人が!?」
「えっ、彼女ができたの!?」
「なにぃ!? 紹介しなさい!」


 紗千さん以外の三人が次々と声を上げて取り囲んでくるので、俺はうんざりしながら「うるさい家族……」と呟いた。適当にごまかしておいたが、花詠の名前を出したら余計うるさくなるだろうな。

 両親は性格もアメリカ人に影響されたようで、自己主張は強めだし皆でわいわい騒ぐのが好きだ。今夜のパーティーも、たくさんの料理を並べて賑やかに始まった。