翌日は予定通りひぐれ屋に向かった。久しぶりに花詠に会えて気分が高揚するも、この場所では接し方を変えねばならないとはたと気づく。
彼女の両親がいるかもしれないのだ。親密な雰囲気を漂わせたら、内緒で会っていたことに感づかれてしまう可能性がある。
咄嗟に学生時代のような塩対応に徹し、ふたりきりになったところでようやく再会の喜びに浸れた。
そこで知ったのは、ひぐれ屋の経営が悪化しているという現状。なにか力になれないかと考えて、すぐに浮かんだのがラヴァルさんの件だ。
帰国する前に参加したパーティーで彼と会い、近々日本へ行くと話していたのを思い出した。ひぐれ屋なら、日本に何度も来ている彼でも満足させられるだろう。
ラヴァルさんとは個人的に連絡を取れるため、さっそくひぐれ屋の件を伝えると二つ返事で了承してくれた。俺とも食事をするという条件つきだったが、お安い御用だ。
それがきっかけでひぐれ屋に足を運べるようになったのはよかったものの、やはり思うように花詠と話すことはできない。暮泉家のテリトリーであるそこでは、皆が〝石動家の息子よ〟と軽蔑するような目で見てくるし、なにより彼女の両親がいるからだ。



