珍獣を見るような目をする彼女に、口の端を引きつらせた。俺はお世辞というものが嫌いな節があるからそう言うのだろうが、今のは本当に思ったことを口にしただけだ。
「これから馬車馬のように働いてもらうから、よろしくー」
「嫌に決まってるでしょう」
「あ! ねえ、今晩アンダーフォーティだけで歓迎会しましょうよ。石動くんの話をしたら、研修中の子たちも会いたがっていたから」
「急すぎますよ」
ツッコミどころが多すぎて脱力する。歓迎会はありがたいし明日まで俺は休みだが、さすがに帰国したばかりで飲みに行くのはきついだろ。
相変わらず強引な槙木さんは、残念そうに口を尖らせる。
「やっぱりダメかぁ。近くにできた居酒屋が今日までビール半額だったのに~」
「すみません。部屋の片づけもしなきゃいけないので。明日も用事があるし」
「なによ、デート?」
「まあ、そんなところです」
冗談っぽく聞いてきた彼女は目をしばたたかせた。俺がそんな風に返すとは意外だったらしく、本心を探るような目で見てくる。
「今のは適当? それとも本当?」
「さあ、どっちでしょうね」
俺は含み笑いして濁し、頬を膨らませる彼女に「明後日から、またよろしくお願いします」と頭を下げた。



