俺たちは本当に結ばれるべき相手ではないのか。考えを巡らせながら、いつの間にかソファで眠りに落ちて俺の肩に寄りかかってくる彼女の髪に、そっとキスを落とした。
翌日、空港で見送る間際になっても答えは見つからなかった。励ましの言葉を送るしかできない自分を情けなく思いながら、離れていく彼女を目に映していた、その時。
こちらを振り返った花詠が、なにを思ったのか蝶のように再び俺の元に舞い戻ってきた。
頬と頬をくっつけ、照れた笑みを浮かべる彼女を見た瞬間、胸の中のもやもやや我慢していたものがシャボン玉みたいに弾けて消える。
お互いの立場とか両親の関係とか、一瞬すべてがどうでもよくなって唇を奪っていた。昨夜、せっかく理性を保ちきったというのに。
驚いて固まる彼女に「またな」と声をかけると、彼女も同じ言葉を返し、嬉しそうに笑って去っていった。
あいつもまた会いたいと思ってくれているんだな。それがわかっただけで心が穏やかになる。そして、自分の中に変化が現れた。
ふたりで過ごすのも、甘い唇に触れるのも、これきりで終わらせたくない。学生時代なんて比較にならないほど、愛しい気持ちが高まっている。
日本に帰ったら会いに行こう。その時までに花詠が誰のものにもなっていなければ、もう遠慮はしない。
飛び立つ飛行機を眺めて、俺は心に誓った。



