「Ta petite amie?(お前の彼女?)」
「Pas sûr.(さあね)」
「Ne sois pas timide!(照れるなって!)」
予想通りの絡みに、俺は若干うんざりして口元を歪ませた。
アレクシは調子のいい男なので、こちらもつい口が緩くなってしまい、日本に大切な人がいるという話をほんの少し漏らしたことがある。どうやらこの女の子がそうなのでは?と感づいたらしい。
変なところで鋭いんだよな……と苦笑し、適当に話を流してその場はごまかしておいた。こういう時にも、外国語で話せるのは助かる。
その後、花詠が乗る予定の飛行機が、火山の噴火で欠航するという事態に。
泊まる場所で困っている彼女をわが家に泊めてやることにした自分に、下心が一ミリもなかったと言えば嘘になる。好きな子とひと晩過ごしたいと、健全な男なら誰だって願うものだ。
だが、そんな提案をしても彼女は断るだろう。俺たちはただの幼馴染……いや、それよりもっと曖昧で不安定な関係なのだから。七年も音信不通状態だったのに、急に俺の部屋に泊まるなんて無理に決まっている。
と、思ったのに。



