「じゃあ……キスも?」
あれはただの挨拶ではなかったんだよね?という意味を込めて、ドキドキしまくりながら彼を見上げて問いかけた。
一度見つめ合った後、ほんのり熱を帯びた瞳が近づいてきて、ちゅっと軽く唇が触れる。
「キスも」
可愛い口づけをして認めた彼に、ぶわっと愛しさが膨れ上がった。どうしよう、好きすぎて心がはち切れそう。
真っ赤になっているだろう顔を胸に埋めて悶える私。エツは私の頭を撫でながら話し出す。
「親同士の確執は知ったこっちゃないが、花詠は旅館を継がなきゃいけないだろうし、俺はそのうちまた海外へ行く。そんな状況じゃ未来はないよなって諦めてたんだ。フランスで再会するまでは」
お互いの仕事がネックで一歩を踏み出せなかったのも、再会して恋心が再熱したのも、私たちは同じだったらしい。
胸を高鳴らせながら、奇跡みたいな話に耳を傾ける。
「大人になった花詠と会って気が変わった。日本に戻ったら関係を変えてやろうと思っていたのに……ラヴァルさんが本気で惚れるとは予想外だった」



