街灯も人通りも少ない脇道に逸れたところで、「ちょっと……!」と戸惑いの声を漏らした直後。さらに強く手を引かれてバランスを崩した私は、エツの胸の中へ。
飛び込んでしまった彼の逞しい身体は、しっかりと私を抱き留めた。包み込まれる感覚に、息が止まりそうになる。
「……もうなんでもいい。お前がここにいれば、それだけで」
彼が吐き出した深い息と共に、意外なひと言が耳に届く。
「俺のそばにいろ。この先もずっと。あの人にも、誰にも花詠はやらない」
──独占欲に満ちた力強い言葉が、鐘のように心臓を大きく揺らした。
まさか、エツも同じ気持ちだった? 両想いだなんて信じられなくて、彼の胸に頬をくっつけたまま上ずった声で確認する。
「い、今のは……告白?」
「他になにがある。好きな女じゃなきゃこんなことしないし、家に泊めたりもしない」
〝好きな女〟。それが自分なのだと思うと、嬉しさが込み上げて胸がきゅうきゅうと締めつけられる。
ていうか『家に泊めたりもしない』ってことは、フランスで会った時から想ってくれていたの? 人助けというだけではなかったのか。



