あっという間に時間が経ち、ミーテイングが始まる頃合いになったところで、ラヴァルさんとお別れした。
私と祥とで見送ったのだが、彼は最後まで情熱的で……。
『ここへ来て、カエさんに会えてよかった。今度会う時は正真正銘のデートに誘うかもしれないから、覚えておいてね』
ラヴァルさんが甘い微笑みを浮かべ、私に向かってそんな風に言うので、祥のほうがどぎまぎしていた。私もドキッとはしたけれど、数時間話したおかげで多少免疫がついたらしく、動揺せずにお礼の言葉を返すことができた。
それからいつものように仕事をして、何事もなかったので少し早めに帰り支度をする。ロビーを出ようとして、ふと昨日のエツとのやり取りを思い出した。
そういえば、気まずいまま別れたんだった。次はいつ会えるだろう。きっと普通に接するだろうけど、私の心はスッキリしないな。
ぼんやり考えながら外へ出た時、茶房へと続く小道から誰かが小走りでやってくる足音が聞こえてきた。
驚いて振り向くと、松の木の中で灯る照明が今まさに頭に浮かんでいた人物を照らし出し、私は目を見開いた。



