やはり日本語が堪能なので普通に話せるし、会話のセンスも面白くて、彼がフランス人だということを忘れてしまいそうになるほど。時々、常連のお客様から話しかけられると、一緒に写真を撮ったりして盛り上がった。
ラヴァルさんもとても楽しそうで、終始ニコニコしている。
「煎茶も、スタッフの皆さんも素晴らしいね。いい店を教えてくれてありがとう」
「ご満足いただけてよかったです」
「日本の旅館のおもてなしがすごいのは知っていたけど、ここまでしてくれるなんて。僕が閣僚だから特別なのかな」
なにげない調子で言われ、私はほんの少し考えを巡らせる。
宿泊に関しては特別待遇をしたけれど、ここへ来てもらったのはラヴァルさんの立場は関係なく、ただお客様に喜んでもらいたい一心でしたことだ。
「確かに、客室などは特別に一番グレードの高いお部屋をご用意いたしました。ですが、今こうしてお話をしているのは、閣僚というお立場は関係ありません。少しでもラヴァル様の望みを叶えて、いい思い出を作っていただきたかっただけです。海外からは滅多に来られませんしね」



