ちょっぴりシュンとしている彼は、なんだか怒られた大型犬みたい。力なく垂れた耳やしっぽが見えるようで、母性本能をくすぐられる。
もしかして、デートとはいっても私たちが思うものとは少し違って、ただ日本を楽しみたかっただけなのかな。私を誘ったのも、初めて若女将に会ったからなのかもしれない。
だとしたら私にもできることがあるとひらめき、居住まいを正して彼に向き直る。
「ラヴァル様、もしお時間があれば……」
キョトンとする彼に、私はちょっとした提案をし始めた。
午後一時、本来ならすでにどこかを観光しているはずだったラヴァルさんは、ひぐれ屋の茶房にやってきた。もちろん、私が約束を取りつけたからである。
私は中抜け勤務といって、チェックインまでの間に長い休憩時間が入るので、街を案内することもできなくはない。しかし、それだとかなり慌ただしくなるし、昨日エツに言ったようにハードルが高いので難しい。
なら、茶房だったらどうかと案が浮かんだ。観光ではないけれど、棗ちゃんが煎茶を淹れてくれるから日本ならではの文化も楽しめるし、私も休憩時間を合わせればお話ができる。
それを提案したところ彼はとても喜んでいて、昼食は私たちがオススメした料亭で食べ、食後のお茶をしに再び出向いてくれたのだ。



