きみがいる、この世界で。


大丈夫かな……余程体調悪いのかなあ……。

「高橋くん、返事、こない?」

お弁当を食べながらチラチラスマートフォンを見ていることに気づいたのか、昨日の歌番組の話で盛り上がる加菜ちゃんと奈々ちゃんに聞こえないほどの声で、友梨ちゃんがコソッと聞いた。

「うん……」

「しんどいのかな? 熱、下がっていればいいね」

高橋くんから返事が来たのは、お昼休みが終わる頃だった。

【たわいじょうふだよ、ありがとう】

……。

たわいじょうふ?

「返事、来たの?」

「うん」

第三者にメッセージを見せるのは少しためらわれたけれど、友梨ちゃんに高橋くんから送られてきたメッセージを見せる。

「たわいじょうふ?」

「”だいじょうぶ”って打ちたかったのかな?」

「そうかも?」

「でもそうだとしたら、全然大丈夫じゃない気がするよね」

友梨ちゃんの言葉に頷きながら、キーボードに指を滑らせる。

【熱、高そうだね……。ゆっくり休んでね】

【アイス、食べたい】

メッセージを送ると同時に既読の印が付き、彼から返信がくる。

これは、持ってきてほしいということなのだろうか?

【放課後、アイス持っていこうか?】

私もすぐに返事をする。
しかし、前のメッセージとは打って変わって、既読の印がつかない。

放課後、お見舞いがでらアイス持っていこうかな。
でも熱が高いのであれば、人が訪ねてくるのさえ億劫に感じるかも。
わざわざ「アイスを食べたい」と送ってきたのは余程食べたかったからかな。

どうしよう、どうしよう、と考え続けている間に、あっという間に放課後になった。私が送ったメッセージに、まだ既読の印はついていない。

心配だな……。
まだ高熱が続いているのかな……。
様子、見に行きたいな……。

幸い彼の家の最寄駅は知っている。最寄駅まで行ってみて、それでも連絡がなければ帰ろう。

「アイス持っていってあげたら喜ぶんじゃない?」という友梨ちゃんの一言も背中を押して、私はいつもとは違う方面の電車に乗った。