きみがいる、この世界で。


「高橋、くん……」


会いたいと思った時に現われてくれる、こんな偶然、あるのだろうか。

驚きで固まる私とは反対に、肩を叩いた本人はにっこりと笑っている。
その笑顔を見た瞬間、急に胸が詰まった。

【今学校の帰り?】

見せられた画面に書かれている文字が滲む。
うん、と頷いたのと、目から涙がこぼれ落ちたのは同時だった。

高橋くんは急に泣いた私を見て、わかりやすく動揺した。

「ごめん……」

頬に流れる涙を右手の甲で慌てて拭う。

【どうかした? 大丈夫?】

コクコクと浅く何度か首を縦にふる。
あまりに心配そうな表情を浮かべるものだから、【大丈夫】と返す。

【今日、ちょっと辛いことがあったの。なんだか高橋くんに会いたいなって思っていたから……会えて気が緩んじゃったのかな。ごめんね、急に泣いちゃって】

返事を読み終えると、高橋くんは私を真っ直ぐ見つめる。その目には、ありありと心配の色が浮かんでいた。

とりあえず涙を引っ込めようと何度か大きく深呼吸をした時、

【泉本さんの家は門限ある?】

【門限?】

【うん。もし遅くなってもいいなら、明後日約束をしていたアイスクリーム、今から食べに行かない?しんどい時は甘いものを食べたら元気になるよ】