結局、私は一週間ほど学校を悩んだ。そして転校することに決めた。学校に戻ることも考えたけれど、またあの環境に戻るのかと考えるだけで胃がシクシクした。
自分の気持ちが固まったその日の夜、両親に「違う学校に移りたい」と告げた。両親がなんというのか少しだけ緊張したけれど、お父さんはあっけないほどあっさりと「わかった、次に行きたい学校考えておきなさい」と私のわがままを許してくれた。お母さんは「次の学校は、もう少し制服が可愛いところがいいんじゃない?」といつも通りで、そんな二人を見てブワッと涙が溢れ出た。「目にゴミでも入ったか?」とお父さんが的外れなことを言うものだから、すぐに涙は引っこんだけれど。
転校先はすぐに決まった。家から三十分ほどのところにある私立の高校。今通っている学校よりはかなり偏差値が低くなる。校舎も古いし、最寄駅からも少し離れているから、雨の日や暑い日、はたまた寒い日はなかなか大変だろう。それでも「ここに通いたい」と両親に言い張った理由はたった一つ。学費が安いから。
この世界にいても、もしかしたらもうあれほど辛い思いをすることはないかもしれない。新しい学校に馴染んで、時々今感じた苦しみを思い出しながらも、毎日友達とおしゃべりをして、勉強をして、そんな毎日を繰り返す。きっとそうなればとても幸せだ。でも、そうはわかっていても、どうしてもまだ諦められない。……彼と、もう一度出会う未来を。
ただでさえ転校するにはお金がかかる。それなのに半年後、姿を消す可能性があるのに、高額な学費を払ってもらうわけにはいかなかった。
転入する学校には、今から一ヶ月少し先の夏休み明け、9月1日から通うことになった。通っていた学校では、今日、一学期の終業式が行われる。「転校するんだもん、もういいじゃない」とのお母さんの言葉に甘え、私は在校生としての最後の登校日となる今日も欠席をした。それが世間一般的に良いとされることなのかはわからないけれど、私は、私の気持ちを理解して尊重してくれるお母さんの行動と言動にとても救われた。きっとお母さんには一生頭が上がらないだろう。
その代わり、ではないけれど、私服で学校の近くにある駅に向かった。休んでいる一週間の間、「体調が悪いから」という休む口実を信じて【体調悪いって聞いた。大丈夫か?】【早く元気になれよ】と連絡をくれた陶山に、会うためだ。私が転校したことは、夏休み明け、先生から伝えてもらうことになっていた。ただ、心配をしてくれていた陶山には自分の口からきちんと伝えたかった。
茹だるような暑さの中、見慣れた車窓からの景色をぼんやりと眺める。新しい学校は家を挟んで真反対にあるから、この景色もこれから頻繁には見ることはないだろう。
約束したカフェに入る直前、【ごめん、終礼が長引いた。今から向かうから、先に店の中に入っておいて】と陶山から連絡が入った。きっと後15分もすればきてくれるだろう。店の外で待っておこうか、と思いつつも、この暑さだと数分でも外にいるだけでも辛いなと考え直し、お言葉に甘えて店内に入っておくことにする。店員さんに後から人と合流することを伝えると、店内の奥にある四人用のテーブルに通してもらえた。
自分の気持ちが固まったその日の夜、両親に「違う学校に移りたい」と告げた。両親がなんというのか少しだけ緊張したけれど、お父さんはあっけないほどあっさりと「わかった、次に行きたい学校考えておきなさい」と私のわがままを許してくれた。お母さんは「次の学校は、もう少し制服が可愛いところがいいんじゃない?」といつも通りで、そんな二人を見てブワッと涙が溢れ出た。「目にゴミでも入ったか?」とお父さんが的外れなことを言うものだから、すぐに涙は引っこんだけれど。
転校先はすぐに決まった。家から三十分ほどのところにある私立の高校。今通っている学校よりはかなり偏差値が低くなる。校舎も古いし、最寄駅からも少し離れているから、雨の日や暑い日、はたまた寒い日はなかなか大変だろう。それでも「ここに通いたい」と両親に言い張った理由はたった一つ。学費が安いから。
この世界にいても、もしかしたらもうあれほど辛い思いをすることはないかもしれない。新しい学校に馴染んで、時々今感じた苦しみを思い出しながらも、毎日友達とおしゃべりをして、勉強をして、そんな毎日を繰り返す。きっとそうなればとても幸せだ。でも、そうはわかっていても、どうしてもまだ諦められない。……彼と、もう一度出会う未来を。
ただでさえ転校するにはお金がかかる。それなのに半年後、姿を消す可能性があるのに、高額な学費を払ってもらうわけにはいかなかった。
転入する学校には、今から一ヶ月少し先の夏休み明け、9月1日から通うことになった。通っていた学校では、今日、一学期の終業式が行われる。「転校するんだもん、もういいじゃない」とのお母さんの言葉に甘え、私は在校生としての最後の登校日となる今日も欠席をした。それが世間一般的に良いとされることなのかはわからないけれど、私は、私の気持ちを理解して尊重してくれるお母さんの行動と言動にとても救われた。きっとお母さんには一生頭が上がらないだろう。
その代わり、ではないけれど、私服で学校の近くにある駅に向かった。休んでいる一週間の間、「体調が悪いから」という休む口実を信じて【体調悪いって聞いた。大丈夫か?】【早く元気になれよ】と連絡をくれた陶山に、会うためだ。私が転校したことは、夏休み明け、先生から伝えてもらうことになっていた。ただ、心配をしてくれていた陶山には自分の口からきちんと伝えたかった。
茹だるような暑さの中、見慣れた車窓からの景色をぼんやりと眺める。新しい学校は家を挟んで真反対にあるから、この景色もこれから頻繁には見ることはないだろう。
約束したカフェに入る直前、【ごめん、終礼が長引いた。今から向かうから、先に店の中に入っておいて】と陶山から連絡が入った。きっと後15分もすればきてくれるだろう。店の外で待っておこうか、と思いつつも、この暑さだと数分でも外にいるだけでも辛いなと考え直し、お言葉に甘えて店内に入っておくことにする。店員さんに後から人と合流することを伝えると、店内の奥にある四人用のテーブルに通してもらえた。



