「今日、お客さん入るといいよねー?」

若くて明るい店員の鏡子は
      私ににそう囁いた。

ふたりはA勤、いわゆる早番である。

ふたりは開店前、鼻唄混じりに
     看板を設置したり
テーブルや椅子を消毒して
    お湯を沸かし雑談しながら
フロアの音楽をオンにする。

チルアウト風のなだらかなリズムの
        トランスで
アイムズの世界は空間はアイムズコーヒーの世界と
独自の宇宙を保ち続ける。
アイムズ
空間はそれだけこだわりがある。


お客さんがちらほら見え始めた。

「いらっしゃいませショートサイズのアイムズコーヒーですね?」

今日もコーヒーがよく売れる。
店員の鏡子もコーヒーを挽いたり忙しいそうだ。

「B勤さんまだかしらねー?ななみさん、久しぶりだから早めに休憩に行ったら?」

「うん、そうさせてもらうね、鏡子ちゃん、」

「アイムズコーヒーと、パンケーキの
まかないいただくねサインして」

「うん、」

私は疲れたのでは早めに休憩に行くことにした。

「あらあら、今日もあの方がお見えだわよ?
探してる探してる、ななみさん、
裏から休憩に行って!」

私はピンときた。私がコロナ禍で
しばらく病いに臥してたときも
律儀に通っていた、 名前なんだっけ?
忘れたけど顔は覚えているあのオジサン、、
好かれてるかもしれんが ここは退避しておこう
私は今日は不調なんだ。
じゃあね?

「こんにちはショートサイズのアイムズアイスコーヒーお願いします」
しのりはそう言った。以前ななみを
探してるいる男の名前はしのりと明かしていた。

はい「アイスコーヒーですごゆっくりどうぞー」
鏡子はしのりに流れ作業のように言った。

しのりはぶつぶつとつぶやきながら
ミルクとシロップを取って去っていった。


休憩室でななみは少し戸惑う。
しばらく休んでいたら
常連さんの名前や顔がおぼつかない。
し...の...り誰だっけ?

よく似た人と間違えてグランデご馳走して
しまったのかな?

喫茶店ではコーヒーに愛情を込めたら
   何倍にも効果はあり
再び購買行動に及ぶ。
  それは     返報性の原理と呼ばれる。

つまり喫茶店では
    丁寧に愛情を込めた接客をすると
法則に従って  必ず繁盛することになるのだ。

私はしのりさんがまた店内に来ようと
プロとして接してコーヒーを淹れるのみを
しようと思う。

接客ではひとりをひいきしては
   やっぱりいけませんね。



なんだか
少しふらつく 後遺症だろうか、

今日は早退しよう。