僕たちは、階段をトントンと、駆け上がり
     2階へ向かった。



不思議な流れで、いつの間にか自動販売機で缶コーヒーを買い、彼女と部屋に向かっている。




今思えば、部屋を片付けておけばよかったと

嘆いても

仕方がない。感染症が流行っているので

せめて換気と消毒だけでもせねばなと思う。




「ななみさんちょっと玄関で待っててね、

    換気と消毒、片付けを済ませるからさ」


彼女は何も言わない。うつむいていたり、
外向いて下を眺めたり、退屈そうに髪の毛を触っていたりした。


「どうぞおあがり」


こくりと
うんと頷き、彼女は、ブーツを脱いで
男の寝床に足を踏み入れた。



タイツ姿でも、生足のようで
少しどきっとする。黒の色だからとても妖艶に感じる。




『コーヒーの匂いがするわね、なんで?』



「これは永次コーヒーの豆の剪定のお仕事なんですよ。テレワークでやっているんです」


『へぇ そう』



「コーヒー淹れましょうか?」


僕はなんだか気分が軽くなってきた。
ロングコビットの症状が全くなくなってきた。
体はスムーズに動くし、てきぱきとコーヒーも沸かせる。すごいね。この力は。



でも、彼女の口調は喋り方もななみさんそのものだし、以前の彼女と微妙に違うけど、
家にも来てくれたし、目の前の彼女をななみさんとして受け入れてもいいのかな?


なんかとても体の奥が熱い。



彼女はほどよく肉のついた身体が魅惑的で



先ほどから真冬というのに汗がぽたりと滴り落ちてくる。