暖かい風が吹き、新鮮な風とともに花びらがちらちらと舞う桜の季節、僕はななみさんの働くカフェのとなりのビル、博ビルの本屋にバイトすることとなった。


僕を動かしている彼女の磁力のような惹きつける
ちからは
いったいなんなのだろうか?

彼女が僕を意識している.....?
       からなのだろうか?

あの最初の『ひとときのグランデ想い』はなんだったのだろうか?




ななみさん、あなたを考えれば考えるほど
コーヒーの味は深くそれでいてほろ苦くなる。




今日もアイi'm'sでショートサイズのアイスコーヒーを飲み静かに佇む。
窓から見えるこのあたり景色は都会の風景ではあるのだが都市再開発の工事現場だらけで
あまり外観は良ろしくはない。

後ろを振り返ってみるが、
カウンターの中には働く彼女の姿は
見当たらなかった。

うすうす感じている。

シフトを外したのか 僕がウザくなり辞めてしまったのだろう。

まあいいさ。彼女目的とした来店も
大の男として気が落ち着かないので
ゆっくりとコーヒーを楽しむつもりでいるよ?

と気取ってしまったが
我ながら救えない生毛なこころで
涙と笑みが両側から溢れてくる。

ななみさん  
               ななみさん
     ななみさん
            ななみさん

同じ街で出会ったのだから
          また街で出会えるだろうに。

彷徨うように  まちを徘徊している。


僕にコーヒーを淹れたあの瞬間が
どれだけ揺さぶったのか、、
ななみさんに伝えたら 

『ははは!』
笑ってしまうだろうな。



ふっとため息をつき小雨の降る春の寒空の下、
自動販売機のインスタントコーヒーを
飲むと、余計悲しみが込み上げてきた。


私は濡れながら街を後にした。