カタカタカタカタ
2階から駆け足で降りてくるしのりさん。

はじめから時間と空間はこの瞬間をプレゼント
してくれたように
   何もかも整い
     ご用意された商品は
さまざまな人の一瞬で一縷のような
努力と気遣いも相まって
        こうして彼のもとに無事
           届いている。

コロナ、ロングコビッドで
何も食べる気がしないとき
それでも寒空のなか暖まりたいとき
フードデリバリーのサービスを
依頼して生命が助けられましたという人々はどれだけいることだろうか。

しのりさん、先程はごめん。

地雷案件とか言ってしまって。

配達員は生命繋いでるんだね。

その生命繋いでる商品もうちらは
笑いながら作ったけど、

大切な商品は受け取った本人が一番わかるよね。






幸せそうな表情、 しのりさん
待ち望んでたんだね  この瞬間を。。






『元気〜〜〜しのりさん、
         風邪引いてない?」






「う......うん、」







『ずっと家にいたんだね、
     必ず病気も良くなるよ〜
           良くなりますように』






「あ、ありがとう.......
鏡子ちゃん、……………』








『いいのよ 気にしないで
それじゃ店長に伝えておくよ』







「ななみ....さ.....
       うぅうぅ」







『しっかりと病気治して
     アイムズコーヒーいただきに来て』



「ん、ん、うん、」



あっいつの間にか
雪がどんどん降ってきた。帰りもあるから
しのりさんとはここで
別れよう。


なんか切ないな。
12月の雪は特別な世界に私達をいざなうね。


一縷だね。彼の生命はアイムズコーヒーの一縷の
糸で繋がっている。


鏡子はこの瞬間をななみさんに
お届けしたい。



.............あなたは  とても  よい道を

      歩いてますよ..........

本当にそう思う。