枯葉が舞い落ちる季節、ハロウィンも終わり、
ますます冬らしくなってきました。

街ゆく女性たちは冬物コートを羽織り
厚手のブーツが似合う季節、

風は冷たく冷蔵庫の中と変わらない気温、
ビルとビルの間を吹き付ける冷気に
うちらのお腹は悲鳴をあげる。

かんべんしてよ、冬の精霊様、
まだうちなんか学生だからいいものの
感染症の後遺症で苦しむ人々にとっては
大変な季節、

ここアイムズコーヒーはまるで避難所ね。

今日もうちはA勤さん、
店長が来るまで開店準備!がんばりましょ〜


『おはよう 鏡子ちゃん』

「おっはよう!店長!
       今日も元気そうだね」
ななみさんは朝は毎日とても明るく挨拶をする。
店長らしくプロフェッショナルでいて
新米のうちをしっかり鼓舞する。
聞くところによると、朝ご飯しっかり摂って
散歩して、音楽聴くとロングコビッドが
治っていったんだって。。

でもそれは若者の自分に合わせているから、
外れたときはどこか元気のない、
落ち着き払ったななみさんになる。

どこか虚ろげで静かで.....


でもまあそれは
若者主体な考えで
店長みたいな静かな大人の女性が 
このアイムズコーヒーには合う気がする。

ななみさんがアイムズコーヒーの看板で
うちなんかお手伝いさんみたいな感じ☺︎

しゃしゃり出るのが得意だからあくまで
              補佐、補佐



♪♪ピロリロリーン♪♪


「うっわ鳴った☺︎
     店長〜注文入りました♪
   デリバリーで!
    アイスレモネードとアイムズコーヒー
   ん?   アイスで...
とパンケーキです」

『はーい久しぶりにデリバリー入るね、
いつも朝イチこの曜日、間違いなくリピーターの
固定のお客さん』

「はははは!」

と、お客さんがいないから大声で笑って、
ななみさんは誤魔化すが、

しつこいリピーターさんなんて
考えられるかぎり あのお方〜しかいない気がする。どこまでも情に熱い方だな。

イニシャルはT.Sさんか.....
やっぱりあの人、
偶然だけどあってる。。

しかも真冬にアイスレモネード、アイスコーヒー
律儀に好みの味を追求する
まっすぐで清純な ハートの持ち主となると!

鏡子の勘は冴え渡ってる!


そうだこんなにも素晴らしいリピーターに

「まぁしのりさんだろうけど、
メッセージ書きましょうよ!」


『なんか それは恥ずかしいわ
      鏡子ちゃんお願い』

「どこまでも世話がやけるな この人は!
       想いがわからんのか」

『でも なんか恥ずかしくて 何か渡せるものがあるか探してみるわ』

とななみさんは何か探し始めた。
クーポン券の類いかなと思うけど、

鈍感なななみさんを横目に
普通にTHANK YOU ♡頑張ってね❕
と書けないものだろうか。
ななみさんの乙女心はいつもぎこちない。

「もうそろそろドライバーさん来るんじゃない?
急いでななみさん」

『あったあった、見つかった無料券』

「何これ 水出しコーヒー無料券?
        こんなのうちにあったっけ?
けど水出しコーヒー無料としか書かれてないよ」

『んん、いいのよ 必ずデリバリーではなく
     実際の店内に来てくれるなら
紙の券が一番いいの』

♪♪♪ピロリロリーン♪♪♪


[---ドライバーがキャンセルしました---]

『あららキャンセルなりましたか、
        忙しいのでしょうね
    冬で、需要が高くて』

♪ピロリロリーン♪

『また鳴った。 あら鏡子ちゃんのスマホから?』

「うん、ドライバーアプリ起動させました。
なんと一瞬で鳴ったみたい。
アイムズコーヒーで同じ注文内容の案件、」

『えっっ案件取っちゃたの』

☃☃☃鏡子ひらめいたなり〜〜☃☃☃