「さあ いらっしゃい ついてきて
     コーヒーを淹れるわね そこに
        腰掛けて」

そういうと彼女はこくりと頷いて
     音も立てずに静かに腰掛けた。

アロマの香る室内と置き時計、ガスのランプに
大きな木目とテーブル、魔法使いが腰掛けそうな
形の長椅子に、彼女とわたしは

まるで最初からご用意されたスタジオかのように
コーヒーをいただくことになりました。

それでも彼女は下を俯いて動きません。


「どうしたの.....? いただいて
     これでもコーヒーの淹れかたは
いつも美味しく淹れる作法を学んでいるから
      サキのコーヒーも自慢のコーヒーよ
                  ♥︎」


彼女はひとくち口をつけ
      私を見上げて、
       『オレの名前は レシナ
             レシナだ よろしく』

と言い、
名乗りました。

「レシナ.......わたしの名前はサキ
     正直尋ねたいことは山ほどあるわ」


レシナはうんと頷いている。


「あなた  がどんな人かも想像が正しければ
   私の古書店になぜ現れて住もうとして
さらに未来にどうしたいのかも、

    わたしなりの想像でいいのかしら
           ねえレシナ」


『ああ構わない。サキの想像の通りだ。
オレには目的がありここに現れた。
もう存じの通りレシナは誰でもない。
     ただ使命と目的、その道案内人である。
サキのもとに終わりのない未来から
     やってきたのが目的だ』

彼女?トランスだろうけど
彼女と統一して彼女とする。
レシナは男性らしい話しかたをしても
なにか迫力のない か細い声でそう述べた。


レシナ... か。


また悩みが増えるわね。


「レシナ あなた しばらくゆっくり現世を
楽しみなさい。 お願いだから普通にしてなさいよ
わたしの古書店に住んでもいいから   ね」


レシナは前髪を掻き分けさらさらとら触り
うんと言い
女性らしく
「ありがとう そうさせてもらうわ」
と再びコーヒーに口をつけた。